予期せぬ妊娠でお困りの方へ
ーAbortionー
予期せぬ妊娠で
お困りの方へ
ーAbortionー
思わぬ形での妊娠判明で戸惑われていることかと思います。
悩まれた末、妊娠をあきらめる決断をされた場合、どのような処置が必要になるかお示しします。
妊娠初期であれば妊娠継続について検討する時間も取れますし、思わぬほど妊娠が進んでいる場合もありますので、早めの受診をおすすめします。
人工妊娠中絶(手動真空吸引法)
妊娠11週6日まで
当院での人工妊娠中絶手術は眠っている間に終了します。現在は手動真空吸引法といったプラスチックの柔らかい吸引管をつかって手術を行っています。WHOで推奨されるスタンダードな手技になります。
妊娠11週6日までは手動真空吸引法で人工妊娠中絶を実施しますが、週数が進むほど子宮穿孔などの合併症が生じる可能性が高まります。妊娠が思わぬほど進んでいることもありますので、早めの受診をおすすめいたします。
超音波検査
クラミジアPCR、血液検査(B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、梅毒、HIV)
頸管拡張処置を行います。
ダイラパンやダイラソフトといった子宮頸管拡張器を子宮頸管内に挿入し、時間をかけて子宮頸管を拡張させ、手術操作をスムーズにできるようにします。
※出産経験のある方など省略できる場合もあります。
点滴から麻酔薬を注入し、眠っている間に手術(手動真空吸引法)を完了させます。
5分から10分程度で手術は終了します。
術後3時間程度で退院となります
麻酔の影響がありますので、ご自身の運転で帰宅することは避けてください。
※早く帰宅したい場合は子宮頸管ブロックで施術は可能ですが、覚醒した状態での施術になります。
再診にて経過を確認します。
<費用>
人工妊娠中絶(中期中絶)
妊娠12週0日以降
妊娠12週を超えて行う中絶を中期中絶と言います。基本的に分娩という形態で妊娠を終了させます。入院期間は2泊3日となります。
超音波検査
クラミジアPCR、血液検査(B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、梅毒、HIV)
頸管拡張処置を行います。
ダイラパンやダイラソフトといった子宮頸管拡張器を子宮頸管内に挿入し、時間をかけて子宮頸管を拡張させます。
水をいれて膨らます風船のような器具(メトロイリンテル)を子宮内に留置し、一晩かけて子宮頸管を拡張させます
前日、子宮内に留置したメトロイリンテルを抜去し、プレグランディン腟坐剤を腟内に挿入し陣痛をつけていきます。3時間ごとに挿入し、児と胎盤の娩出に向かわせます。
※娩出に至らない場合は翌日も同じ処置を行っていきます。
診察後、退院となります。
再診にて経過を確認します。
<費用>
経口中絶薬(メフィーゴパック)
妊娠9週0日まで
日本では手術による中絶しか選択できませんでしたが、2023年より経口薬(メフィーゴパック)による妊娠中絶が承認されました。2種類の薬をスケジュールにあわせて、服用し中絶を行います。ミフェプリストン (①) 内服を行い36時間から48時間後にミソプロストール (②)を内服します。
手術と経口薬それぞれに長所短所がありますので、「初期の妊娠中絶:手術と経口薬の違い」をご参照ください
超音波検査
クラミジアPCR、血液検査(B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、梅毒、HIV)
午前中に受診していただき、経口薬①ミフェプリストンを内服します。
受診の必要はありません。
入院し、経口薬②ミソプロストールを内服していただきます。
胎嚢が排出されたあと、2時間ほど経過を観察して退院となります。
※午後6時以降の排出の場合の退院は翌日になります。
※経口薬②を投与後24時間排出のない場合は手術療法が必要になります。
再診にて経過を確認します。
<費用>
(例1:最も多いパターン:費用15万円)
月曜日 午前中 経口薬①内服
火曜日 経過観察
水曜日 8時入院し経口薬②内服→16時排出→18時退院
(例2:排出に時間を要した場合:費用15万円:1泊追加になりますが、追加費用は発生しません)
月曜日 午前中 経口薬①内服
火曜日 経過観察
水曜日 8時入院し経口薬②内服→20時排出
木曜日 9時退院
(例3:経口薬①のみで排出された場合:費用15万円:入院はありませんが、返金はございません。)
月曜日 午前中 経口薬①内服
火曜日 自然排出→診療時間内に受診
※水曜日の入院は必要ありません。
(例4:手術を要した場合:10%程度起こります:費用20万:手術料が追加になります。)
月曜日 午前中 経口薬①内服
火曜日 経過観察
水曜日 8時入院し経口薬②内服→自然排出が起きない
木曜日 昼から手術→夕方退院
初期の妊娠中絶:手術と経口薬の違い
手術 手動吸引真空法 |
経口薬 メフィーゴパック |
|
メ リ ッ ト |
1日で妊娠の中絶が完了する | 手術をする必要がない |
デ メ リ ッ ト |
まれに手術に伴う合併症がある (子宮穿孔、子宮内膜へのダメージ、麻酔合併症) |
・妊娠の中断に時間がかかる ・入院が必要 ・排出中、排出後も出血や腹痛がある ・10%程度で手術も必要 ・手術より高額 (2024年時点) |
共通 | 遺残があった場合は再手術が必要 |
ピルや避妊リングなど避妊方法に
ついてもご相談ください。
日本ではコンドームによる避妊が行われることが多いですが、より確実な方法としてピルの内服や避妊リングの挿入になります。
コンドームは性感染症予防にはかかせないアイテムですので、併用をおすすめします。
低用量ピル
エストロゲンとプロゲスチンが配合されていて、排卵抑制、精子侵入抑制、着床抑制効果があり、避妊効果を発揮します。シート状になっており1日1錠同じ時間に内服します。
※保険適応はありません。
※まれではありますが、重篤な副作用として血栓症があります。
※喫煙者など使用できない方もいらっしゃいます。
<費用>1シート 2,000~2,400円
避妊リング
ミレーナ
子宮内黄体ホルモン放出システム
ミレーナからは黄体ホルモンが5年間放出されるため、子宮内膜の増殖が抑えられ、高い避妊効果を発揮します。外来で数分以内に装着することができ、副効用として月経量の減少や月経痛の改善が期待できます。
※出産経験のない方はリングの装着が困難なことがあります。
<費用>55,000円
FD-1
子宮内に装着することで受精卵が着床することを防ぎ、避妊効果を発揮します。
ミレーナの方が避妊効果は優れます。月経困難症の改善は期待できません。
<費用>30,000円
(レボノルゲストレル) 緊急避妊
緊急避妊は避妊をせずにセックスをした場合やコンドームが破れて避妊を失敗した場合などに妊娠を防止させる方法です。
最も一般的な方法はアフターピルと呼ばれるノルレボの内服です。
72時間以内に内服する必要がありますが、できるだけ早く内服した方が避妊効果が高いといわれています。